筑後市内 景況調査レポート(令和7年下半期)
概況(まとめ)
令和7年下半期の筑後市内の景況は、依然として厳しい状況が続いています。経営上の問題点として最も多かったのは「売上・受注の減少」であり、次いで「人件費の増加」、「仕入れ単価の上昇」)となりました。上半期は「コスト上昇」が中心課題でしたが、下半期はそれに加え「売上回復の遅れ」がより明確となりました。物価上昇が続くなか、消費の慎重姿勢が定着し、地域内需要の戻りは限定的といえます。一方で、「SNS・AI等の活用」など、経営改善や新たな販路開拓に向けた前向きな動きも見られ、厳しい環境下においても変化への意識が芽生えています。
- 市内の動向(数字と読み取り)
売上見通し:「増える」25%、「変わらない」38%、「減る」37%
→ 減少見通しは依然として一定割合を占めるものの、上半期(44%)からは改善。慎重ながらも持ち直しの兆しがうかがえます。設備投資:今期に実施したのは21%。来期予定は25%。
→ 投資は慎重姿勢が続くものの、省力化・効率化を目的とした選択的投資が継続。
実績(前期比)
売上:増加18%、横ばい33%、減少49%
利益:増加15%、横ばい34%、減少51%
取引条件(支払い・回収など):横ばい78%
→ 売上・利益は減少基調が続くものの、悪化幅は縮小傾向。資金繰りの急激な悪化は見られず、全体としては「耐えている局面」といえます。 - 業種ごとのようす
・製造業:原材料費・人件費の上昇が継続。受注も弱含みで、収益環境は厳しい。
・卸売業:仕入価格・物流費の上昇が続き、価格転嫁は十分とはいえない。利益確保が課題。
・小売業:来店客数の伸び悩みが続き、売上は力強さを欠く。消費の節約志向が影響。
・サービス業:需要は一定水準を維持するも、人件費増が収益を圧迫。人材確保が課題。
・建設業:資材・人件費の高止まりが継続。受注環境は横ばいからやや弱含み。 - 事業者の悩み(アンケート上位)
・売上・注文が減った(31件)
・人件費が上がった(26件)
・仕入れ単価の上昇(24件)
・電気・燃料費の高騰(16件)
・人材不足(14件)
・その他(12件):価格転嫁の難航、物流費増加、設備更新負担 等
→「売上の停滞」と「コスト負担の継続」が引き続き二大テーマとなっています。 - 今後の見通し
売上環境は依然慎重な見方が多数 → 需要動向を見極めた柔軟な対応が求められる。
コスト上昇は継続 → 価格転嫁の徹底と生産性向上が不可欠。
人材確保への不安が続く → 省力化投資や働き方改善の取り組みが重要。 - 今後の取り組み(提案)
〇短期(今すぐできること)
・売上構成を分析し、不採算商品の見直しや価格転嫁を段階的に実施。
・経費を再点検し、物流費や外注費の最適化で固定費を抑制。
・既存顧客との関係を強化し、紹介やリピート促進で売上の安定化を図る。
〇中期(半年~1年)
・省力化・デジタル化の推進(補助金や各種支援制度の活用)。
・市場動向に対応した高付加価値商品・サービスの開発による差別化戦略。
・賃上げと生産性向上の両立。 - コメント
筑後市の事業環境は、上半期に見られた「売上減少とコスト上昇の二重苦」という構図から、大きな方向転換には至っていないものの、下半期は売上見通しにやや持ち直しの兆しが見られました。一方で、人件費や仕入価格の高止まりは継続しており、コスト負担の重さは依然として経営を圧迫しています。上半期は「利益を守る対応」と「投資再開への期待」がテーマでしたが、下半期はそれに加え、「売上の安定確保」と「生産性向上の具体化」がより現実的な課題として浮き彫りとなりました。特に価格転嫁の進展度合いや人材確保への対応が、企業ごとの差を生みつつあります。今後は、足元の収益を守る工夫(価格転嫁・経費見直し)を継続するとともに、将来を見据えた投資(省力化・デジタル化・高付加価値化)を着実に進めることが、持続的な成長への鍵となります。守りを固めつつ、次の一手を打てるかどうかが重要な局面にあります。





























