筑後市内 景況調査レポート(令和8年上半期)
・概況(まとめ)
令和8年上半期の筑後市は、前年の下半期に見られた「回復への足固め」の兆しから一転し、景況感の大幅な悪化が浮き彫りとなりました。売上・収益ともに「減少」と回答した割合が再び拡大し、特に収益面では「減少」が過半数(52.6%)に達する厳しい状況に逆戻りしています。また、来期の設備投資を「計画している」事業者も、前回の38%から21%へと大幅に低下しており、将来への投資意欲が冷え込んでいます。最大の懸念事項は依然として「売上・受注の減少」ですが、仕入れ単価の上昇や原材料・光熱費の高騰、人件費の増加といった「全方位からのコスト高」が深刻な重荷となっています。
1. 市内の動向(数字と読み取り)
• 生産・売上の見通し:「増加」24%、「横ばい」37%、「減少」39% → 減少の見通しが約4割を占め、先行きに対して非常に慎重な見方が強まっています。
• 設備投資:今期(1月〜6月)の実績実施率は29%でしたが、来期(7月〜12月)は21%が計画中(前回調査の38%から17ポイント低下)。将来の業績不安から、投資意欲は著しく減退傾向にあります。
• 実績(前期比)
o 売上額:増加 23.4%、横ばい 31.9%、減少 44.7%(前回の「減少32.4%」から12.3ポイント悪化)
o 収益:増加 13.7%、横ばい 33.7%、減少 52.6%(前回の「減少38.6%」から14.0ポイント悪化)
o 販売条件:横ばいが 80.9% と大半を占め、安定を維持しています。 → 昨期に見られた「底打ち感」から一転、売上・収益ともに「減少」が急増しており、利益圧縮の動きが顕著となっています。
2. 業種ごとのようす
• 製造業:売上が「減少」した企業が52.6%と過半数を占め、収益の「減少」にいたっては63.2%に達しています。売上減少に加え、原材料費や仕入れコスト、人件費の上昇というトリプルパンチが利益を激しく圧迫しています。
• 卸売業:回答数が少ないものの、売上「増加」が50.0%を占め、収益の「減少」が0.0%となるなど、他業種に比べて堅調を維持しています。しかし、仕入れ単価の上昇などが潜在的なリスクです。
• 小売業:売上は「横ばい」(47.4%)が最多であるものの、収益の「減少」が42.1%に達しており、仕入れ価格の上昇分を十分に販売価格に転嫁しきれず、利益が圧迫されている構造が続いています。
• サービス業:売上は「減少」が47.1%を占め、さらに収益は「減少」が70.6%と極めて高くなっています。人件費や経費の上昇分を価格に転嫁できておらず、非常に厳しい状況です。
• 建設業:売上は「減少」が80.0%、収益の「減少」が70.0%と、前回調査の好調から一転して深刻な不振に直面しています。資材価格の高騰や深刻な人手不足が足かせとなっています。
3. 事業者の悩み(アンケート上位)
• 売上・受注の減少(37件)
• 仕入れ単価の上昇(35件)
• 原材料、ガソリン価格、電気代の高騰(28件)
• 人件費の増加(22件)
• SNS、AI等の利用(16件)
• 人件費以外の経費の増加(16件)
4. 今後の見通し
来期の設備投資意欲は21%と、前回(38%)から大幅に落ち込んでおり、先行きへの不透明感から守りの姿勢が一段と強まっています。
生産・売上の見通しも「減少」が39%と最多であり、当面は慎重な経営を余儀なくされる可能性が高いと考えられます。
5. 今後の取り組み(経営者の皆様へ)
コスト高(特に仕入れ単価・原材料費・人件費)による収益悪化が全業種に広がっているため、以下の戦略的アプローチを提言します。
〇短期(今すぐできること)
1. 価格転嫁の本格実施:仕入れコストの上昇や人件費の増加分を反映させるため、顧客への丁寧な説明を伴う段階的な価格転嫁を躊躇なく実行してください。
2. 収益管理の徹底と固定費見直し:不要な固定費を徹底的に削減し、売上が低迷しても確実に黒字を維持できる「しなやかで強い、筋肉質な収益構造」への転換を目指してください。
3. 既存顧客の深耕:新規獲得コストが高騰する中、信頼関係のある既存取引先との関係を強化し、確実な受注確保を図りましょう。
〇中期(半年~1年)
1. デジタル技術による省力化と効率化:関心の高いSNSやAIなどのITツールを実務に導入し、人手不足に対応した生産性向上を推進してください。
2. 高付加価値な独自サービスの提供:単なる低価格競争を避け、他社と差別化できる独自の強みや高付加価値サービスを創出して利益率を高めてください。
3. 持続可能な経営基盤の確立:付加価値の向上により確保した原資をもとに、適切な待遇改善(賃上げなど)を実施し、人材の確保・定着を確実なものにしてください。
6. コメント
令和8年上半期の筑後市経済は、「再び試練の時期」に入りました。この局面を乗り越えるためには、徹底したコスト管理と適正な価格転嫁という「守りと基盤強化」を急ぎつつ、デジタル技術(SNS・AI等)の導入や投資といった「攻めの準備」を並行して行う、両利きの経営姿勢が求められます。





























